音楽のことはまったく詳しくないし、取り立てて趣味と言うほどでもないが、あまりジャンルを問わず好んでいる曲はある。気に入った曲を何度も繰り返し聴いて嬉しがるタイプで、家人などは、私があまりに同じ曲を繰り返すので呆れることがある。この性分はその他のことにも言え、例えば靴などは気に入ったらずっと同じのを履いている。食べ物もそうで、あまり飽きるということがない。意に沿わないものを食べるのはもちろん心外だが、好んでいる食べ物なら毎日でかまわない。

自分で楽器を奏でることはまったく駄目だ。それでも小学校の頃のたて笛は好きだったので、休みの日に家でも吹いて過ごすようなところがあったが、他の楽器は定着しなかった。大学に入るために上京した時に、何を思ったか衝動的に百貨店の楽器売り場でオカリナを買ったことがある。多分、子供時分のたて笛を吹き転がしていた感覚が根っこにあったからだろう。その日は、確か百貨店で同時に刻みたばこ用のパイプも買い込んだはずだ。オカリナとパイプ。この2つが下宿の部屋で埃をかぶったまましばらく置き去りになっていた。今思うと、やっぱりちょっと変な大学1年生であったと思える。

 今は、昔観ていたドラマの主題歌を聴いている。ノスタルジーということにはなる。後ろ向きではないか?と少しは思うのだが、音楽くらいは後ろ向きに聴いてもよいだろう。色々往時を想い出せるのがいいし、当時の自分の心性が回復される気もする。変わり果てたと思っていたものが、残っていたことに驚くような感覚が時々ある。もうしばらくは飽きもせず、これらドラマの主題歌群を聴き続けることにする。

 さすがに繰り返し聴いていて気がついたこともある。ここがこの曲のサビだなぁとか、なぜ、ここのところがサビらしくなっているのか?素人が生意気に考えたりしている。ここ最近は編曲をするアレンジャーの腕みたいなものを手繰り寄せるような聴き方になることが多い。ある曲の歌詞が1番から3番まで進む。1番はギターのソロ伴奏で静かに、2番に入るとベースとパーカッションが加わりさらに少し速くなり、3番に入ろうとする時に弦楽器と管楽器がピークに引っ張り上げるように加わってくる。やっぱりサビだなぁ、ここが!そんなことを思って一人悦に入っているのである。
 ただ、この弦と管のアレンジこそは、生徒にとっての講師の存在理由だと思ったりもする。そして、それは部下にとっての上司の存在理由でもあるのかなぁ?そんなことも思ってみたりしている。(了)
文責;島田真樹