台風一過となった。お盆前に台風が日本に上陸し、その爪を立てて掻き毟って行くのは珍しいことだ。この台風11号の影響で、夏の甲子園も開会式が順延となった。なんと54年ぶりと言う。おまけに気団の関係なのだろう、暴風雨とともに冷気も入って来ていた。そんな折も折、青森地方では地震が起きている。世界の地震の20%が日本で発生していると言うが、台風とダブルで襲い掛かられてはかなわない。猛暑から一転。激しく変化するこの頃の気象である。

 消費税増税の影響により、各種景気指数が軒並みマイナスを指し始めている。もっとも、プラス3%もの増税が景気への影響軽微と言う方が元々不自然だ。これから益々景気の混迷は深まるように思える。それにしても、景気という字はよくできた文字だ。“気の景色”というわけである。“病は気から”とも言うが、“不景気も気から”ではなかろうか。消費者マインドは最悪の冷え込みを今後迎える予感が濃厚だ。買い控えが凄い勢いで進んでいる。アベノミクスから一転。デフレの沼から這い出ることはなかなかに難しい。

 生徒たちにも影響がもちろん出ている。学習塾の生徒について言えば、新規入塾者数がこの夏あたりから本格的な前年減に突入した感がある。これは、おそらく業界全体に渡ることだろう。特定事業者だけの問題ではない。家計における教育費への皺寄せがはっきり出ていると見えるからである。この状況下、業界人としては安閑としていることはできない。ただ、焦っていてもしょうがない。ここはある程度の長考も可だと思っている。

 食材が凍ってしまって、硬くて包丁の刃が立たない時は、しばらく解けるのを待つのが上策。慌てず騒がず、まずその時を待つ。その間は、食卓を片付けたり、食器を磨いているなりすればよい。あるいは、敢えて再び冷凍庫にしまうのも有りだ。違う生の食材を仕入れてしまえばよいのだし、なんなら、畑に種蒔きから始めてもよい。時を悟ること。これはすこぶる大事な能力だ。闇雲に走ればよいというものではない。今大事なのは『いつ走るか』の方だ。

 野球のピッチャーの投法に、配球上の“見せ球”というのがある。たとえば、外側、アウトコースへの低めの変化球、スライダーあたりを決めて仕留めようと考えたら、その前に打者の内側、インコースの高めに真っ直ぐな速球で、胸元あたりにのけ反るくらいわざと外した球を投げておくなんてことをピッチャーはする。その球をバッターに見せておくである。直前の残像は人に大きな影響を与える。次のアウトコースへのスライダーがウィニングショットになる確率はかなり高くなるわけだ。次を活かす工夫がこの“見せ球”だ。流れを見て、次を用意することだ。(了)